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消費税法では、基準期間という考え方があります。この基準期間とは、個人の場合、前々年の1月1日から12月31日までの1年間、法人の場合は、前々事業年度を意味します。
基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合、消費税の納税義務を負う課税事業者となりますが、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であれば納税義務が免除される免税事業者となります。
ただし、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間の課税売上高と特定期間の給与等の支払額の合計額の両方がそれぞれ1,000万円を超えた場合、当期から課税事業者となります。特定期間とは、個人の場合は前年の1月1日から6月30日までの6ヶ月間、法人の場合は前事業年度が7ヶ月超であれば、前事業年度開始の日から6ヶ月間を意味します。前事業年度が7ヶ月以下であれば、その前事業年度は短期事業年度となり、特定期間にはなりません。この場合の特定期間については複雑なので、ここでの説明は省略します。
なお、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えていても、特定期間の給与等の支払額の合計額が1,000万円以下であれば、個人・法人ともに、課税事業者にならず免税事業者となります。
個人事業で開業した場合、前々年の売上高は0円ですので、最初の2年間は基準期間の売上高が0円、すなわち1,000万円以下と判定され消費税の納税が免除されます。ただし、前年の1月1日から6ヶ月間(「特定期間」といいます。)の課税売上高と給与等の支払額の合計額が両方とも1,000万円を超えた場合、消費税法上の課税事業者になりますので、1年目の1月1日から6月30日までの課税売上高と給与等の支払額の合計額が両方とも1,000万円を超えると、2年目から消費税の課税事業者として納税義務を負います。1年目の1月1日から6月30日までの課税売上高が1,000万円を超えても、この期間の給与等の支払額の合計額が1,000万円以下であれば、2年目は免税事業者です。
法人を新規設立して開業した場合、消費税法上、会社設立時に資本金を1,000万円以上にしてしまうと設立1期目から課税事業者として消費税の納税義務があります。
以前は株式会社を設立する時に資本金を1,000万円以上にする必要がありましたが、現在は会社法により資本金は1円でも良いことになっています。株式会社の資本金が1,000万円未満の場合、会社としての2期前(基準期間)の売上高は0円ですから、会社設立後2事業年度は、原則として消費税の納税が免除される免税事業者になります。
したがって、特別の理由が無い限り、資本金は1,000万円未満にした方が良いと考えられます。
ただし、資本金が1,000万円未満の法人であっても、前事業年度が7ヶ月超であり、かつ前事業年度開始の日から6ヶ月間(「特定期間」といいます。)の課税売上高と給与等の支払額の合計額が両方とも1,000万円を超えた場合、消費税法上の課税事業者になります。したがって、資本金1,000万円未満の法人の第1事業年度が7ヶ月超であり、第1事業年度開始の日から6ヶ月間の課税売上高と給与等の支払額の合計額が両方とも1,000万円を超えると、第2事業年度から消費税の納税義務を負います。資本金1,000万円未満の法人の第1事業年度が7ヶ月超であり、第1事業年度開始の日から6ヶ月間の課税売上高が1,000万円を超えても、この期間の給与等の支払額の合計額が1,000万円以下であれば、第2事業年度は免税事業者です。
資本金が1,000万円未満の新設法人は、第1事業年度の課税売上高が1,000万円超であっても、第1事業年度開始の日から6ヶ月間の課税売上高と給与等の支払額の合計額のいずれかが1,000万円以下であれば、第2事業年度まで消費税が免除されます。
例えば、4月1日に設立した法人が3月31日を決算日とした場合、第1事業年度の課税売上高が1,000万円超でも、第1事業年度の4月1日から9月30日までの課税売上高と給与等の支払合計額のいずれかが1,000万円以下であれば、第2事業年度まで消費税が免除されます。
このように、一事業年度の課税売上高が1,000万円超であっても、免税事業者の期間を最大2年間とすることが可能となる事例があります。
したがって、法人の設立日から最初の決算日までができるだけ1年に近くになるよう決算日を決定するか、又は予定している決算日から12ヶ月前に法人を設立するようにしたほうが良いと考えられます。
業種によっては、月ごとの売上金額に大きな差がある場合があります。例えば3月に売上が多い法人であった場合、3月末日を決算日にしてしまいますと、決算月に会計上は大きな利益が発生し、これに伴い法人税・消費税が増加します。しかし、現金売上だけなら良いのですが、売掛金又は受取手形等の現金化には時間がかかりますので、決算日から2ヵ月後の5月末日の法人税・消費税の納付期限に納税資金が不足するような結果になりかねません。
逆に4月に売上が多い法人が3月末日を決算日とした場合、4月の売上に対する売掛金又は受取手形等は、決算日時点では既に現金化されていますし、売上の多い4月から翌年5月末日の法人税・消費税の納付期限までに時間がありますので必要な納税資金を用意するための余裕を持つことができます。
つまり、月ごとの売上に大きな差がある法人は、売上の多い月が事業年度の初めの方になるよう決算日を設定していくことが納税資金の確保という資金繰りの観点から重要になってくるのです。
決算日には棚卸を行い、在庫の数量・金額を確認する必要があります。在庫が多い月を決算日にした場合、棚卸にかかる労力が多大になってしまう可能性がありますので、在庫が少ない月に決算日を設定するというのも一つの考え方です。
法人を設立した場合、仮に赤字でも、少なくとも法人県民税2万円・法人市民税5万円・合計7万円の均等割りと呼ばれる税金を納付しなければなりません。均等割りは事業年度が12ヶ月未満である場合、1ヶ月未満の端数と切り捨てとする月割計算になります。したがって法人設立日を月の初日ではなく、月の2日以後にすると均等割りの年額の12分の1が節税できることになります。
会社の設立には様々な費用がかかります。この費用は創立費と呼ばれ、法人登記に関する司法書士報酬、登録免許税、公証人役場における定款認証代金、定款の印紙代(オンライン申請の場合は不要)などがあります。
創立費は、繰延資産として資産計上し、その後償却費という形で費用計上します。法人税法上は任意償却ですので、全額を一回で償却して費用計上することができます。また、一部を費用計上し残額を繰延資産として資産計上することもできますし、全額を繰延資産として資産計上し、費用計上はしないこともできます。
創立費を費用計上した事業年度は、費用計上した金額だけ利益が減少しますので、その事業年度の節税となります。したがって会社が黒字になるまで費用計上せず、繰延資産として資産計上したままにすることもできます。
ただし、会社法では創立費を設立後5年以内に償却するよう規定していますので、会社設立後5年以内に償却し費用計上して下さい。
また、赤字の会社が費用計上した場合、10年間は繰越欠損金として黒字と相殺して節税効果をもたらすことが可能ですが、10年を過ぎると繰越欠損金として黒字との相殺ができなくなるので注意して下さい。